「商品登録のたびに、魅力的な説明文を考えるのが本当に苦痛…」
「一生懸命時間をかけて書いても、どこにでもあるような文章になってしまう」
「SEOキーワードを無理やり入れると、日本語として不自然になる」
ECサイトを運営していると、この悩みは避けられません。私も3年前、アパレル雑貨のECを立ち上げたとき、まさにこの壁にぶつかりました。
結論から申し上げます。ChatGPTを使えば、1商品あたりの作業時間は40分から7分に縮まります。私の場合、150商品以上で検証した結果です。
ただし、「AIに丸投げすれば売れる文章ができる」と思っているなら、その考えは捨てたほうがいいかもしれません。私は最初の3ヶ月で、その甘い考えを完全に打ち砕かれました。
最初の大失敗:「高級感を出して」だけで指示した結果
ChatGPTを導入した当初、私は調子に乗っていました。
「これで毎日2時間かけていた商品説明文の作業から解放される!」
そう思って、最初の20商品に対してこんなプロンプトを投げたのです。
この商品の説明文を書いてください。高級感のある雰囲気でお願いします。
商品名:〇〇レザートートバッグ
素材:牛革
サイズ:縦30cm×横40cm
出てきた文章を見て、私は絶望しました。
全部、同じ文体になっていたのです。
「上質な素材が織りなす、洗練されたデザイン」
「あなたの日常に、ワンランク上の彩りを」
「こだわり抜いた逸品を、ぜひお手元に」
どの商品を見ても、判を押したようにこのフレーズが並んでいました。
しかも致命的だったのは、うちのブランドの「ちょっとゆるい、親しみやすさ」という個性が完全に消えていたことです。高級路線のブランドならまだしも、うちは「日常使いのカジュアル雑貨」がコンセプト。AIが勝手に作った「ハイブランド風」の文章は、既存のお客さんからすると「急にどうした?」という違和感でしかありませんでした。
この失敗で学んだのは、「曖昧な指示は、曖昧な結果を生む」という当たり前のことでした。
売上が変わったプロンプトの「型」
3ヶ月の試行錯誤の末、ようやく「これなら使える」というプロンプトの型ができました。
ポイントは3つあります。
1. ターゲットの「悩み」を具体的に書く
「30代女性」ではダメです。「通勤で荷物が多いのに、小さいバッグしか持っていない30代女性」まで書く必要があります。
2. 「このブランドらしさ」を言語化して入れる
私の場合は「親しみやすい・ちょっとゆるい・気取らない」をトーン指定に必ず入れています。これを入れないと、AIは勝手に「優等生的な文章」を書いてしまいます。
3. 「やってはいけないこと」も指定する
「『上質』『洗練』という言葉は使わないで」「『ぜひ』『おすすめ』で締めくくらないで」など、禁止事項を明示します。AIは指示がなければ、ありきたりな表現に逃げてしまうからです。
実際に使っているプロンプトの一部を公開します。
あなたはECサイトの商品説明文を書く担当者です。
以下の情報をもとに、商品説明文を作成してください。
# ターゲット
・30代女性、会社員
・通勤時に荷物が多く、いつもバッグがパンパンになっている
・「大きいバッグ=ダサい」というイメージがあり、できれば避けたい
# 商品情報
・商品名:〇〇
・素材:〇〇
・特徴:〇〇
# ブランドのトーン
・親しみやすく、友達に話しかけるような口調
・気取らない、日常に寄り添う雰囲気
・「頑張りすぎない」感じ
# 禁止事項
・「上質」「洗練」「ワンランク上」という表現
・「ぜひお試しください」「おすすめです」で終わる文章
・箇条書きの羅列だけで終わる構成
# 出力形式
・キャッチコピー(20文字以内)
・導入文(2〜3文で共感を呼ぶ)
・特徴説明(3つのポイントを、それぞれ2文程度で)
・利用シーン(具体的な1日の流れをストーリーで)
このプロンプトに変えてから、AI導入後の商品群でCVRが1.1%から1.6%に上がりました。約45%の改善です。
もちろん、これがAIのおかげなのか、季節要因なのか、厳密な検証はできていません。ただ、同時期に既存の(人力で書いた)商品説明文はCVRが横ばいだったので、少なくとも悪影響はなかったと判断しています。
それでも「売れなかった」商品の話
ここまで読むと「ChatGPT万能じゃん」と思われるかもしれません。
でも正直に申し上げると、AIで書いた説明文が全く効果を発揮しなかった商品もあります。
具体的には、「見た目で価値が伝わりにくい商品」です。
たとえば、うちで扱っている「抗菌加工のエコバッグ」。機能としては素晴らしいのですが、写真を見ただけでは普通のエコバッグと変わりません。
AIに「抗菌機能のすごさを伝えて」と指示すると、こんな文章が出てきます。
「99.9%の抗菌効果で、いつでも清潔に。お買い物の強い味方です。」
…いや、間違ってはいません。でも、これを読んで「欲しい!」と思いますか?
結局、この商品は人間が書いた説明文(「スーパーで生肉を買った後、バッグの匂いが気になったことありませんか?」という導入から始まる文章)に差し替えました。その後、CVRは明確に上がりました。
私が思うに、AIが得意なのは「魅力がすでに伝わっている商品の言語化」です。見た目がおしゃれなバッグ、写真映えするアクセサリー、素材感が伝わる革製品。こういう商品なら、AIは人間より上手に「欲しくなる言葉」を選べます。
逆に、「そもそもなぜこの商品が必要なのか」から説明しなければいけない商品は、AIには荷が重いのです。お客さんの潜在的な悩みを掘り起こして、「あ、それ私のことだ」と思わせる——この芸当は、まだ人間のほうが上手だと感じています。
無料版(GPT-3.5)は正直キツい
よく聞かれるのが「無料版でも使えますか?」という質問です。
結論から言うと、商品説明文を量産する用途なら、月20ドル(約3,000円)の課金は必須だと私は思っています。
無料版(GPT-3.5)で同じプロンプトを試すと、こうなります。
- 指示を無視して、禁止した表現を使ってくる
- 文章が長くなりすぎる(「3文で」と言っても5文書く)
- 同じ商品の説明文を複数回頼むと、毎回ほぼ同じ文章が出てくる
特に3つ目は致命的です。たとえば色違いの商品を5色展開しているとき、「それぞれの色の魅力を伝える説明文を書いて」と頼んでも、GPT-3.5は全部同じような文章を返してきます。
GPT-4なら、「ネイビーは知的な印象を与え、ビジネスシーンにも」「ベージュは柔らかさがあり、休日のカフェにも馴染む」と、ちゃんと書き分けてくれます。
月3,000円を「高い」と思うか「安い」と思うかは、扱っている商品数によります。私の場合、月に20〜30商品は新規登録するので、1商品あたり100円ちょっとで40分の作業が7分になるなら、余裕で元が取れています。
最悪の失敗:ファクトチェックを怠った代償
これは本当に反省している話です。
ある日、オーガニックコットンを使った商品の説明文をAIに書かせました。出てきた文章に「GOTS認証取得」という一文がありました。
「へえ、そういう認証があるんだ」と思い、そのまま掲載しました。
2週間後、お客さんから問い合わせが来ました。「GOTS認証の証明書を見せてもらえますか?」
調べたら、うちの商品はGOTS認証なんて取得していませんでした。
AIが「もっともらしい嘘」をついていたのです。いわゆるハルシネーション(幻覚)というやつです。
幸い、誠実に謝罪して説明文を修正したことで大事には至りませんでしたが、もしこれが薬機法に関わる表現(「〇〇に効果がある」など)だったら、行政処分の対象になっていた可能性もあります。
この一件以来、私はAIが出力した文章を必ず以下の観点でチェックしています。
- 認証・資格・受賞歴など「事実」に関する記述はないか
- 素材名・産地は正しいか(「イタリア産」と書いていないか確認)
- 効果・効能を断言していないか
- 数字(サイズ、重量など)は正確か
正直、これが一番面倒な作業です。でも、1回のクレームで失う信頼を考えたら、省略してはいけない工程だと思っています。
楽天とAmazonでプロンプトを変える理由
もうひとつ、実務的な話をしておきます。
楽天とAmazonで同じ商品説明文を使い回している方がいますが、これはやめたほうがいいです。
理由は単純で、検索アルゴリズムが違うからです。
楽天は商品名にキーワードを詰め込む文化があります。「本革 トートバッグ レディース 大容量 通勤 A4 軽量 ブランド」みたいな、キーワードの羅列が許容される(というか推奨される)のです。
一方、Amazonは商品名にキーワードを詰め込みすぎると、むしろ検索順位が下がる傾向があります。Amazonでは「商品説明文」や「箇条書き(バレットポイント)」にキーワードを分散させたほうが効果的です。
つまり、プロンプトの段階で「楽天向け」「Amazon向け」を分けて指示する必要があります。
私は楽天向けには「商品名にSEOキーワードを5〜7個含めて」、Amazon向けには「商品名は簡潔に、バレットポイントにキーワードを分散させて」と指示を変えています。
この使い分けを始めてから、楽天では検索順位が平均12位から6位に、Amazonでは商品ページのセッション数が約20%増えました。
(※直近3ヶ月の変化。他の要因も影響している可能性があります)
AIは「優秀な新人バイト」だと思ってください
3年間、ChatGPTで商品説明文を書き続けてきた私の結論はこうです。
AIは「すごく優秀だけど、ときどきトンデモないミスをする新人バイト」と同じです。
放っておくと勝手に仕事を進めてくれますが、チェックなしで任せると、とんでもないことをやらかします。でも、ちゃんと指示を出して、成果物を確認すれば、人間の3倍のスピードで仕事をこなしてくれます。
私は今でも、AIが書いた文章に必ず「自分の言葉」を1行だけ足すようにしています。
「実はこの素材、仕入れ先を見つけるまで半年かかりました」
「私も毎日通勤で使っていますが、肩が本当にラクです」
この1行があるだけで、AIの整った文章が「店長からの手紙」に変わります。お客さんが買っているのは商品だけではありません。その商品を選んで仕入れている「人」への信頼も含めて買っているのです。
AIに丸投げして時間を浮かせるのもいいでしょう。でも、浮いた時間で「自分にしか書けない1行」を足せるなら、そっちのほうがよっぽど売上に効くと私は思っています。
【付録】実際に使っているプロンプト(完全版)
最後に、私が現在使っているプロンプトを全文公開します。
コピペして、{ } の部分だけ自分の商品情報に書き換えれば使えます。ただし、前述のとおりファクトチェックは必ず自分でやってください。これだけは省略しないでいただきたいです。
あなたはECサイト専門のコピーライターです。
以下の情報をもとに、ターゲット顧客が「今すぐカートに入れたい」と感じる商品説明文を作成してください。
# ターゲット顧客
・年齢・性別:{例:30代女性、会社員}
・具体的な悩み:{例:通勤で荷物が多いのに、大きいバッグはダサく見えるから避けたい}
・購入を検討するシーン:{例:今使っているバッグが壊れて、買い替えを検討中}
# 商品情報
・商品名:{商品名}
・素材:{素材}
・サイズ:{サイズ}
・価格帯:{例:5,000円〜10,000円}
・最大の特徴(USP):{例:見た目はコンパクトなのに、A4ファイルがすっぽり入る}
・競合との違い:{例:同価格帯の他社製品より200g軽い}
# ブランドのトーン
・{例:親しみやすく、友達に話しかけるような口調}
・{例:気取らない、日常に寄り添う雰囲気}
# 禁止事項(これらの表現は使わないでください)
・「上質」「洗練」「ワンランク上」「極上」
・「ぜひお試しください」「おすすめです」で終わる文章
・「いかがでしょうか」という問いかけ
・事実確認ができない認証・受賞歴の記載
# 出力構成
1. キャッチコピー(20文字以内。{狙いたいSEOキーワード}を含める)
2. 導入文(ターゲットの悩みに共感する2〜3文)
3. 商品の特徴(3つのポイントを、それぞれ2文程度で。スペックではなくベネフィットで書く)
4. 利用シーンの提案(朝起きてから夜帰宅するまでの1日を、ストーリー形式で)
5. 締めの一言(購入を後押しするが、押し売りにならない表現で)
# 出力時の注意
・1文は40文字以内を目安に、読みやすく区切る
・専門用語は使わず、中学生でも理解できる言葉を選ぶ
・「。」の後は改行を入れて読みやすくする
プロンプトを使う前の注意点
繰り返しになりますが、大事なのでもう一度お伝えします。
- 出力された文章は必ずファクトチェックする
- 素材名、産地、認証などは特に注意
- 最低1行は「自分にしか書けない言葉」を足す
- 楽天とAmazonでは別々のプロンプトを用意する
これを守れば、あなたのEC運営は確実にラクになります。少なくとも、私はラクになりました。

